のぼりが庶民に広まった

のぼりが庶民に広まったのは、江戸時代のことです。

その頃、武家の間では「端午の節句にのぼりを飾る」という風習が生まれていました。

これは、男児の力強い健やかな成長と出世を願って行われていたものですが、それを見た江戸の庶民たちが、自分たちも、と真似を始めたのです。

しかし、その頃の庶民と言えばお金があまりありませんから、紙に自分で絵を描いて、それを飾っていました。

これが、絵のぼりの始まりです。

当時は木綿も非常に貴重で、やはり庶民には手の届かぬ代物でしたから、皆は紙に描いていたのです。

現在、当時の絵幟が残っていないのはそのせいで、紙であったため劣化したのです。

ただ、庶民でも、裕福な家庭では、画家や絵師に頼んで絵を描かせていました。

そういう場合はもちろん木綿を利用していたので、当時の絵師による作品は、現代でも見ることができます。

中でも、とくに有名なのは「葛飾北斎の絵のぼり」です。

これを所有しているのは、残念ながら日本の美術館ではありません。

しかし、それほど美しい姿で残っているのは、実用品として使用されずに、海外で芸術品として大切にされたからかもしれませんから、残念とばかりは言えないのです。

現代ののぼりも情緒に溢れていますし、嫌いではありませんよ。